お正月2日目は野良仕事をしました。3日目の今日は、依頼されている昭和30年代のトランジスタラジオ(カーラジオ)の修理をすることにしました。故障個所はまだはっきりとは分かっていませんが、ほぼ高周波増幅回路か周波数変換回路部であることが分かっています。下図の赤枠のコンデンサが特に傷んでいます。中には割れているコンデンサもあります。
このコンデンサを交換する前に高周波関連回路の部品の値を調査することにしました。古いラジオですので、回路図がありません。実物の回路基板を見ながら回路図を復元するしかありません。いわゆるリバースエンジニアリングでしょうか。虫眼鏡で回路部品を調査したり基板の配線図を見ながらの、とても気が遠くなる面倒な作業です。
高周波部を構成する各部品の値、赤枠は交換要の傷んだ部品、?は値不明
回路図を復元するために虫眼鏡は欠かせません。虫眼鏡を使って、部品に書かれた文字を読みます。部品は基板上に隙間なく配置されているため、ピンセットでわずかに部品を傾けて読みます。隙間はとても狭いため周りの部品の陰になってとても読みずらいです。また、基板裏の配線を見ながら部品間の配線を想定します。一種のパズルだと思います。このパズルを解いて初めて電子回路を復元できます。リバースエンジニアリングの醍醐味でしょうか。
虫眼鏡で電子部品を覗き込む 部品の配線を図に再現
カーラジオは通常のラジオより特殊な構造になっています。特に雑音対策です。車はエンジン内で数万ボルトでスパークをしており、それだけで大変な雑音発生源なのです。雑音だらけの車に装着するカーラジオは、それだけに雑音対策が必須です。その対策のため、カーラジオは鉄板の箱内に納められアース対策もしっかりされています。
さて、ある程度回路を復元すると、交換する部品を探しました。私が高校生の頃からストックを始めたコンデンサをはじめとする受動部品、そしてトランジスタをはじめとする能動部品があります。その中から交換に必要な部品を探しました。
修理用にストックしたコンデンサ類 修理用にストックしたトランジスタ類
コンデンサ類はほぼありました。しかし、トランジスタは2SA353はありましたが、2SA354と2SA355はありませんでした。トランジスタが故障していて交換が必要な場合は、互換性のあるトランジスタを探すか通販や秋葉原内を探すしかありません。どうしても手に入らなければ、交換トランジスタ(例えば2SA103)に合わせて抵抗値を最適に変更します。最後の手段として、同じカーラジオを中古で購入して部品を抜くしかありません。気の長い修理になりそうです。
交換用の電解コンデンサ 交換用のMPコンデンサ ストックしていた2SA353
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帝国電波(現クラリオン)製カーラジオRM-107(三菱キャブトラック搭載)の修理(4/X)
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