わらを積み重ねるように編みながら、「ほぼろ」の試作をスタートしました。数本のわらを積むたびに駒を交互に動かして固定します。最初は数cmほどですが、どんどん編んでいくと10cm,20cmと長く重なります。途中で、積むためのわらが無くなってきました。今回の試作は、「ほぼろ」を作るために稲わらが何束必要か測る意味もあります。今回作る小さめの「ほぼろ」を作るためには、最低二束必要なことが分かりました。本来の大きさの「ほぼろ」を作るためには、最低四束は必要のようです。私以外の二人は、初めての「ほぼろ」作りです。「ほぼろ」の側面を作るために三時間程度かかりました。慣れれば二時間程度ではないかと思います。
「ほぼろ」の側面を完成し、両端を繋ぎ合わせ
「ほぼろ」作りには、大きく二つの工程があります。一つは、数本のわらを編んで積み重ねることです。これは、通常の米俵作りや筵作りと同じような作業です。違うのは、わらを半分に折りながら、折った部分に紐を通すことです。もう一つの工程は、底をかぎ針で編むことです。側面を内側に折り曲げて、底が抜けないように編むのです。緩く編むと底が抜けます。そのため、底の中央部は特に強く編み込みます。
もくもくとわらを組む 10cm程度重ねる もうすぐ完了
ところで、米俵,筵,そしてほぼろなどのわら細工には、共通な技術が使われます。昔、これらの農具は農家に必須でした。そのため、当時は農家は誰もが自作していました。農閑期や夜なべして作られていたのではないかと思います。また、上手に早く「ほぼろ」を作ることができる人は売りに出していたようです。頑丈で使いやすい「ほぼろ」を作る人は評判になったと聞きます。つまり、「ほぼろ」は作り手の個性が出たようです。また地域性がありました。例えば、田布施と柳井では形が少し違います。
側面の両端のつなぎ合わせ完了 腰蓑のような「ほぼろ」側面完成
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涼しい木陰で、田布施町のわら細工民具「ほぼろ」の試作(2/3)
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