ラジオ放送が受信できるようになったこのトランジスタラジオですが、ボリュームを最大にして音がとても小さくてよく聞こえません。今回は音が小さい原因を調査したうえで、その故障を直すことにしました。前回と同じように裏蓋を開いて回路基板を露出しました。
修理のため、裏蓋を開いて露出した回路基板
音が小さい原因の一つと考えたのが、検波段と低周波増幅段の間を遮断している基板の割れです。その割れのため銅箔が切れています。その切れた銅箔のある個所を導通すると、音が大きくなることを発見しました。どうも基板の割れが音が小さい原因のようです。さっそく、その割れた基板をアルコールで綺麗に拭いて接続することにしました。
無水アルコールで基板を掃除 割れた基板周辺を清掃中
基板をよく見ると、製造中か販売後に手が加えられた跡が見受けられました。基板は汚れていると半田ののりが悪いので、割れた部分を集中的に無水アルコールで清掃しました。すると、切れた銅箔部分がよく見えるようになりました。
アルコール清掃前の割れた基板部分 アルコール清掃後の割れた基板部分
割れた基板部分は手で持つとグラグラします。このため、歯の治療で言うところのブリッジのように割れた基板の両側を針金で半田付けして固定しました。万全ではありませんが、これで基板の割れの応急処置が終わりました。
歯の治療で言うところのブリッジのように、割れた基板を針金で半田付け固定
割れた基板を固定後に電源をつないでみると、うれしいことに音が正常に出るようになりました。基板の割れのために、検波後の音声が低周波増幅段に伝わらなかったようです。音はけっこう大きいので、容量抜けなどの故障はないようです。外部アンテナを元通りつないで、回路基板を筐体に取り付け、裏蓋を取り付けて回路上の修理は終わりました。
半田付け固定した基板部分 外部アンテナを元通り取り付け
ラジオを元のように組み立てなおして、ラジオ放送を一通り受信するテストをしてみました。すると、NHK第一をはじめ、TBSなどほとんどを正常に受信しました。次に外部アンテナを取り付けて、短波放送を受信してみました。すると、短波も正常に受信しました。今後は、経年の使用で汚れた筐体の清掃などをしようと思います。
外部アンテナを取り付けて、短波放送の受信を確認中
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古いSONY製トランジスタラジオ TR-710の修理(5)
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