古い東芝製のトランジスタラジオがあるのですが、ガリがとてもひどい状態で聞くに堪えません。そして、ボリュームを動かしていると、ピタリと音が出なくなることがあります。安心して使えません。このため、このラジオを分解して修理することにしました。まずは、修理する前に内部回路などの調査をしました。
今回修理することにした東芝製トランジスタラジオ 6TP-385
ラジオの裏蓋を外して裏側を見ると、このラジオの規格が書いてありました。受信周波数は540〜1600KHzで、出力は70mWです。一般的な小型ラジオとして普通です。面白いのは、短波放送を受信するわけではないのにロッドアンテナが付いていることです。バーアンテナが小さいので、外部アンテナをつなげるようにとの工夫なのでしょうか。
裏蓋に記載のラジオ規格 ラジオ付属のロッドアンテナと挿入穴
裏蓋を開けて内部基板を見ると、当時の東芝らしい素子配置です。バーアンテナは、径は細目ですが長めなので感度は悪くなさそうです。使われているトランジスタも自社製のものが使われていました。このラジオが製造されていた頃には、自社だけで部品を揃えることができるようになったのではないかと思います。
すんなりとして綺麗にまとめられた基板
各回路を調べてみました。周波数変換部に使われているトランジスタは2SA73が使われています。中間周波数の前段には2SA49が使われていました。そして、低周波増幅前段には2SB54が使われていました。2SB54は私が学生時代によく使ったトランジスタです。今でもストックとして12個持っています。PP段は2SB56が2個使われていました。やはり、ストックとして6個持っています。※一番多くストックしているのは2SB175が24個。
周波数変換の周辺、右2SA73 低周波増幅段、右2SB56x2
面白いのは中間周波数の後段です。使われていたトランジスタは2S53でした。このトランジスタは、JIS規格前の東芝トランジスタです。このトランジスタはJIS規格では2SA53となったトランジスタです。このラジオが製造された当時は、古い規格からJIS規格に切り替わる時期だったのではないでしょうか。
当時の東芝規格トランジスタ2S53、JIS規格化で2SA53に改名
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古い東芝製トランジスタラジ 6TP-385の修理(1)
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