1本糸縫いのとても古い手回しミシンを手に入れて修理と調整をしています。このミシン、完動品であれば骨董品としてとても高価ではなかったかと思います。動かない故障品とのことで、安く手に入れました。メーカーはLEADで、Singurの手回しミシンをOEMで製造していたのではないでしょうか。おそらく大正時代(今から100年位前)に販売されていたのではないかと思います。私の趣味の一つにラジオ修理があります。これも同じように、安い故障品を手に入れては直しています。さてこの古いミシン、ざっと見て故障個所がたくさんありました。一つ一つ修理して調整しました。
修理・調整中の古い手回しミシン
故障と言うほどではないのですが、動きが重かったため可動部にマシン油を差しました。すると、小気味よく動くようになりました。一番の故障は、ミシン針が布抑えに衝突することです。そのため、もともと付いていたミシン針の先端は曲がっており、糸を通す穴が潰れていました。そこで、新しいミシン針を購入して取り付けました。それでも衝突は直りません。無理して動かすとミシン針が折れそうです。いろいろ周辺をチェックすると、布抑えを降ろすレバーのネジがひどく緩んでいました。そのため、布抑えがぐらぐらしてミシン針に当たることが分かりました。
マシン油を差した可動部 布抑えに衝突する針 はみ出たカバー板を削る
続いて、ミシンを納める箱の屋根カバーがとても窮屈なのです。そのため、ミシンを箱に入れると取り出す時に屋根カバーを開くことができないのです。ベンチを使って強く引っ張らないと開きません。屋根カバーをよく見ると、長年のゆがみによって屋根カバーの板がはみ出ていました。そのはみ出た板を薄く削りました。これで屋根カバーが容易に開け閉めできるようになりました。ミシンの修理に木工技術が役立つとは思いもしませんでした。
ミシン針に糸を通す やっと糸通し完了 布を重ねて試し縫い
他にも細々した故障個所を修理しましたが、そもそも糸の通し方が分かりませんでした。そこでインターネットのアンティークミシンのコーナーを開いて糸の通し方を見つけました。最後に布を二枚重ねて試し縫いをしました。すると、きれいに縫えているではありませんか。うれしくなりました。下糸を使わない1本縫いのため、布の表と裏では糸の張り方が違います。裏側はチェーンステッチ状に縫われます。このミシンは使い方がとても簡単です。小学校の放課後学習「成器塾 糸紡ぎ・昔の手仕事教室」で子供達にこのミシンを体験してもらおうと思います。
縫った布の表側 縫った布の裏側
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古い手回し式ミシンの修理・調整
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