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Channel: 東京里山農業日誌
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国木田独歩 生誕150年記念 高塔山,吉見家跡周辺 実踏調査(2/x)

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 国木田独歩は吉見家に仮寓中に何度も、吉見家の後ろにある山「屋後の山」に登っていたとのこと。吉見家の子供達を連れて登ったことが何度もあったようです。また、頂上に登って演説の練習をしたこともあったようです。その山は地元では「ゆりの山」と呼ばれていたようです。また、その南隣にある山は「吉見山」と呼ばれていたようです。今の時代、地元の人でも山に登ることはまずありません。そのため、昔呼ばれていた山の名前がどんどん忘れ去られています。独歩は、吉見家を中心に周辺の山や丘をよく散策したようです。私は地元の友人などを誘って、独歩の追体験をするため周辺の山を散策してみました。

   独歩が参拝した麻郷神社(招魂場:当時の惣田山招魂社)を訪れる

 ところで、吉見家の後にある山「屋後の山」は、今は住宅建設のため頂上はありません。昭和45年頃に団地を造成する時に削られてしまいました。独歩のことは全く知らない小学生の私(60年位前)は、この山の頂上が好きでよく登っていました。360°の展望を楽しめました。南を見ると高塔山が、東を見ると田布施川や赤子山が、北を見ると田布施街とその向こうに石城山が、そして西を見ると確か千防山の尾根が見えました。空を見上げると、流れる雲や渡り鳥がよく見えました。そして、静かな風の音が聞こえました。夜に登ったありませんが、星空や月が綺麗だったことでしょう。独歩もこの景色を見たのではないかと思います。今は無き「屋後の山」頂上の思い出です。

 頂上が無い現在の「屋後の山」       頂上がまだある1965年頃
 

 ちなみに小学生の私がその頂上に登ったルートは、下図のように吉見山を西に迂回するルートでした。1960年頃のことです。山にそれほど樹が生えておらず、楽々に登ることができました。山に樹が生えていない大きな理由がありました。当時、風呂やカマドなどの燃料として山に生える笹や灌木を燃やしていました。私も小学四年生から高校卒業まで、風呂焚きするため毎日のように灌木を刈っては燃料にしていました。灌木を刈っている人の姿があちこちに見られました。そして、もう一つの理由は平生や麻郷の塩田の燃料に木が使われたのです。アルバイト感覚で、樹を切っては塩田に供出してお金を得ていたとのこと。

       1960年頃、私が「屋後の山」頂上に登っていたルート


 独歩が吉見家に仮寓していた明治24年からすでに130年の月日が経っていますが、当時の面影がわずかに残っています。その一つに吉見家の墓地跡があります。その墓地跡、今では落葉が厚く積もっており言われないととても墓地跡とは分かりません。地元在住の方から聞いた話です。墓地跡には小石がたくさん敷き詰められており、今でも落葉をのければ小石があるかも知れないとのこと。その墓地跡に行ってみました。吉見家や現在の高塔が見下ろせる場所に墓地跡がありました。かつてあった墓石は今、柳井市新庄の欣慶寺に移っているとのこと。近々そのお墓を訪れてみようと思います。

  墓地跡は灌木の中    墓地跡に生える樹    墓地付近を藪漕ぎ中
  

 吉見家は昭和16年頃に、現在の高塔から引っ越しせざるを得なくなりました。その理由は、現在の高塔地区と旭地区を陸軍が接収することになったためです。太平洋戦争が始まった頃、大刀洗飛行場の燃料などの軍事物資を分散避難するための処置だったようです。二年前にたまたま太刀洗平和跡記念館に行きましたが、戦争中に何度も米軍に空襲を受けていたとのこと。そのための避難処置ではないでしょうか。麻里府港に陸揚げした軍事物資を集積所に保管したそうです。回りは鉄条網で守られ、憲兵が見回りしていたそうです。 

 麻郷神社(招魂場所:惣田山招魂社)      広々とした参道の灯篭
 

 吉見家墓地跡を出ると、しばらく歩いて麻郷神社に向かいました。この神社は独歩が訪れた当時は惣田山招魂社と呼ばれていました。この招魂社は戊辰戦争などで亡くなった第二奇兵隊員を慰霊するために幕末慶応二年に建立されました。元々は元治元年に高杉晋作が下関に創設した招魂場(社殿は慶応元年に完成)が起源です。今でも4月1日に慰霊祭が執り行なわれています。この招魂社が建立されて3年後、東京招魂社(今の靖国神社)が建立されました。東京招魂社は、長州藩が建立した招魂社を参考に作ったようです。言わば、靖国神社の母体は長州藩の招魂社ではないかと思います。山口県の人には、明治維新を成し遂げるために亡くなった無数の英霊に特別な慰霊の念があるのだと思います。

            実踏調査した国木田独歩関連ルート


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