外観がだいぶ傷んだ松下製トランジスタラジオT-40を修理してみることにしました。傷んでいるところは前面パネルの上部です。床か何かに激しく当ったらしく凹んでいます。そして、その凹みのためか、ダイヤルを回してもチューニング針が左右にピクリとも動きません。当然選局もできず、ラジオ放送を受信することが全くできません。まずはゆがみを直しチューニング針がスムーズに動くようにハード面から修理する必要がありそうです。
全面上部が激しくゆがみ、チューニング針が不動
ハード面の修復の前に一通り故障箇所を押さえておく必要があります。比較的多いポールアンテナの曲がりや折れはありませんでした。先端もちゃんと付いています。ただし、前パネル上部はゆがみがひどい状態でした。一度分解して取り出してゆがみを修正することは必須のようです。
正常だったポールアンテナ ゆがみが酷い前面パネル上部
裏蓋を開いて内部の状態を観察しました。ざっと見て気が付いたのは錆が酷いことです。このラジオは、永い間湿気が多い場所に保管されていたようです。例えば電池受けは錆が進んで金属部分が折れそうです。一度取り出して磨く必要があります。腐食が進んでいれば、電池受けの金属部分は交換する必要がありそうです。
内部の基板の様子、錆で腐食が相当進んでいる電池受け部分
次に電子回路部分を調査しました。8トランジスタ使用のため、他励式ではないかと思います。トランジスタは腐食していることはまれですが、このラジオのトランジスタは腐食が進んで金属表面がはがれ塗装もはがれていました。当然、トランジスタの番号を見えませんでした。かろうじて、中間周波増幅部が2SA102と読めました。年代的に混合発信部や他励部は2SA103ではないかと推測できます。
錆びて番号が読めないトランジスタ 中間週周波増幅段の2SA102
低周波増幅部2段目は2SB171,P.P段は2SB172でした。低周波増幅初段のトランジスタは読めませんでした。2段目と同じ2SB171ではないかと思われます。
低周波増幅部の回路 このラジオの銘板
次にチューニング針が動かない原因を調査しました。三つの原因があるようでした。一つ目は、ダイヤル糸が通るプーリーが錆びて固着し動かないことです。プーリー二つが固着して全く動きません。ラジオペンチで回しても微動だにしません。二つ目はダイヤル糸が経年変化で硬くなっていることでした。三つ目はバリコンの動きが硬いことです。これらチューニング関連は交換部品が全くないので、なんとかして壊さないようにして少しずつ直すしかないようです。
下の丸は、固着して全く回らないプーリーとチューニング針
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古い松下製トランジスタラジオ T-40の修理(1)
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