わら細工のほぼろは元々、農作業の収穫物を主に入れて運ぶためのものです。そのため、大きなものが本来のほぼろです。これまで中位の大きさのほぼろばかりを作り続けてきましたが、本来の大きさのほぼろを作ってみました。今回手持ち紐を取り付けて完成となりました。今後も色々なほぼろを作ったり、機会があればまたほぼろ製作講習会を開催しようと思っています。
さて、完成後使ってみました。すると、収穫した大根や芋やネギなどを運ぶ時にとても重宝しました。しかし、農家以外の方には大きすぎて使いずらいようです。つまり、現代の生活スタイルには合わないと思います。言ってみればダサい感じでしょうか。軽く手持ちできる中位の大きさのほぼろが使い良いと感じました。
取っ手紐を取り付け後、わらくずを丁寧に取る
大きめのほぼろは、取っ手紐の取り付け位置で使い勝手が変わります。私は、ほぼろの円周を四等分してその四ヶ所に紐を取り付けることにしています。実際、過去に作られたほぼろもその位置に取り付けてあります。重いものを運ぶと、紐の取り付け場所が傷みやすくなります。それを防ぐため取り付け位置に紐をU字型に取り付けます。そのU字に取っ手紐を取り付けています。力を分散させて傷みを防ぐのです。
〇は円周の長さを計測する印 取っ手紐を取り付けるU字
完成したほぼろを使ってみると、私が子供の頃に使った感触が懐かしく思い出されました。ほぼろは大きく五つの使い方があります。基本的に農作物を運びますが、石や土砂など何でも運ぶことができます。赤ん坊や幼児を入れて運んだ記録もあります。
①手にぶら下げて収穫物などを運ぶ
②肩に担いで収穫物などを運ぶ
③背負って収穫物などを運ぶ
④天秤棒を使って二つのほぼろを同時に担いで運ぶ
⑤猫車か一輪車に乗せて収穫物などを運ぶ
私の家はかつて桃園を経営していまし。亡き父親は④の方法で桃などを運んでいました。ほぼろがよく使われた昭和30年代まで、①~⑤は普通に見られた光景でした。ほぼろは、農作業しない方には無用の長物かも知れません。野良仕事をする私には役に立ちます。今でも、継ぎ当てをしながらほぼろを大切に使っている古老を見かけることあります。
①手にぶら下げて運ぶ ②肩に担いで運ぶ ③背負って運ぶ
ちなみに「ほぼろを売る」と言う諺があります。大切なほぼろを放ってまで、嫁が実家に逃げ帰ることを言います。虐められた姑や夫への、嫁からの別離宣言でしょうか。今だったらパワハラに耐えかねて離婚でしょうね。山口県,広島県などで広く言われた諺のようです。それだけ、昔は誰でも使う農具だったのでしょう。
④天秤棒で二つのほぼろを担いで運ぶ ⑤猫車に載せて運ぶ
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わら細工ほぼろ(大きめ)の製作を完了 取っ手紐の取り付け
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