音量調整が効かないためまずはボリュームを調べることにしました。このラジオのボリュームは分解できるようなタイプのようですので、故障の様子を調べるために分解してみました。ボリュームツマミを取り、続いて丸い茶色のベーク板を外しました。すると、皮膜抵抗部とその皮膜部をスライドする金属部分が露出します。
ボリュームツマミを外す 丸い茶色のベーク板を外す
基板に取り付けたまま、分解したボリュームをよく見ました。すると、予想通り可変抵抗のベース側が擦り切れていました。ボリュームのベース側が外れているのと同じで、これでは音量調節が全くできません。この故障はボリュームを交換するしか直す方法がありません。困りました。このラジオに使えるボリュームを待っていませんし、売ってもいないと思います。このボリュームを交換しないでなんとか修理できないか考える必要があります。うーん困った。
ボリュームのベース側が磨り減った抵抗皮膜部分
余談ですが、たまたま私が所蔵していた昭和34年発行の雑誌に、このラジオの記述を発見しました。この雑誌が5月号ですので、実際にはその年の4月に発行されたと考えられます。つまり、このトランジスタラジオは昭和34年(1959)の4月発売だと考えられます。
実際にこの雑誌の記事を見ると、今上天皇が皇太子時代のご成婚記念として4月10日に発売されたと記載されています。思い出してみると、当時のオーディオ雑誌などには新発売のラジオやレコードの新譜がよく載っていました。
雑誌「無線と実験」の表紙 「ご成婚記念に発売」と記載
さらにこの雑誌を読み進むと、1ページ全体を使って広告が掲載されていました。この広告を見ると、日本初の短波付トランジスタラジオTR-741の1/2の体積のポケットサイズのラジオと記載されています。当時もっとも小型の短波付トランジスタラジオだったのではないかと思います。
雑誌「無線と実験 昭和34年発行」に掲載の1ページ分の広告
↧
古いSONY製トランジスタラジオ TR-714の修理(3)
↧