このところ暑くて、農作業するのは早朝と夕方です。久しぶりにトランジスタラジオを修理してみることにしました。他にも修理中のラジオがありますが、交換部品が無かったり,大規模な修理のためにより精査しなければならないなどため時間がかかっています。修理を仕事にしているわけではないため、空いた時間があれば気ままに修理をしています。今回は、音がウンともスンとも言わないラジオをただ同然で手に入れました。NEC製のトランジスタラジオNT-625です。
左は今回修理することにしたNT-625,右はNT-620(比較のため)
NECは通信関連を専門とするメーカーですが、かつてラジオも製造しているとは10年位前まで知りませんでした。今回修理することにしたこのNT-625は、型名からするとNT-620の後継機種でしょうか。NT-620はとても個性的なデザインで、とても好きなラジオです。チューニング部と音量部が見方によっては「!」マークに見えます。個性的なNT-620に対して、NT-625は平凡なデザインになっています。ただ、裏蓋にも穴あきアルミが使ってあるのは珍しいです。
裏蓋を開けるとボロ錆の電池 9V電源を繋ぐとガリ音発生
裏蓋を開けると、なんとボロボロに錆びた電池が入っていました。こんな電池では音すら出ないと思います。この錆びた電池、漏液のためか周りにくっついていました。その電池を注意深くそろそろと外に出して端子を外しました。試しに9Vの電源を繋ぐとガリ音が出ました。しかし、チューニングダイヤルを回してもラジオ放送は聞こえません。
裏蓋に貼られたラジオ規格 裏向き基板を丁寧に外す
なお、裏蓋にはこのラジオの規格が書いてありました。受信周波数は535〜1605KHzで出力は0.12Wです。ポケットサイズの一般的な仕様です。次に裏を向いた基板を外して3枚開きにしてみました。3枚とは、表,基板,裏蓋です。開くと内部には、たくさんのホコリが溜まっていました。隅っこまでホコリが付着していました。チューニングダイヤルやボリューム付近にほこりが溜まるのは分かりますが、隅っこにまでどうやってホコリが溜まるのでしょうか。
3枚開きにしたNT-625 ※裏蓋は写っていない
いつものように、使われている部品を調査しました。すると、高周波部には独自規格のトランジスターが使われていました。混合発信部には2S159が一個、中間周波部には2S155が2個使われていました。低周波部は、JIS規格の2SB56が3個使われていました。このトランジスタラジオは、JIS規格前のトランジスタが使っていますので昭和30年代中盤の製造のようです。
左下:2S159 他2個:2S155 3個共に2SB56
面白いのは、高周波用のトランジスタはNEC自社製品を使用していますが、低周波用のトランジスタは東芝製を使っています。おそらく自社製よりも東芝製の方が安価だったのでしょう。私が日立にいた時もそうですが、いくら日立内とは言え内制品を使うよりも、他社製品の方が安ければ他社製品を使っていました。社内であっても、工場間で独立採算だったからです。
NEC製トランジスタ2S159の仕様 NECトランジスタ2S155の規格
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古いNEC製トランジスタラジオ NT-625の修理(1)
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