先日、初代八海橋や渡し船を調査していて、「カニもりさん」と「うじもりさん」のお話をお聞きしました。カニもりさんは蟹のことなのですが、うじもりさんに虫なのか,氏なのか,はたまた蛆なのか地元の方も分からないとのことでした。他の地域では蛆もりさんと言って、田んぼのウンカなどの害虫を指しているようです。八海は田んぼが少ないので、ウンカとは考えにくいように思います。蟹と同じように海岸に多い船虫のことでしょうか。それとも牛もり様が訛ったものでしょうか。今、それを知るお年寄りはいません。うじもりさんは現在、開作明神と呼ばれているそうです。
八海地区の裏山頂上で、田布施川を見下ろす蟹もりさんの祠
ちなみに、蟹もりさんは八海地区の裏山の頂上にありますが、うじもりさんは堤防に沿う身近な場所にあります。年に一度酒盛りなどのお祝いをするそうです。蟹もりさんも昔はお祝いをしたとのことですが、そのお祭りは今は絶えています。
ついでに、八海地区にある八海天神様のことをお聞きしました。今はお年寄りが石階段を上がることができず、高松八幡宮の宮司さんだけがお社にお詣りした後、お祭りは八海公会堂でするそうです。なお、田布施の天神から来たのか、防府の天神様からきたのか由来を知る人はもういません。昔話を知っているお年寄りがどんどん減ることは、ふるさとの文化が減ることでもあります。さびしいことです。
海岸の堤防沿いに建てられた、うじもりさんの祠
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田布施町 麻郷 八海の「カニもりさん」と「うじもりさん」
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