このトランジスタラジオは、その後次々に改良された歴史があります。下の画像は、右から昭和32年に製造されたTR-63,そのとなりは昭和33年頃に製造されたTR-610,そして、左は昭和35年頃に製造されたTR-620です。たかだか、4年の間に劇的に小さくなっています。TR-620は小さくてつい落としてしまいそうです。
右より、昭和32年TR-63,昭和33年TR-610,昭和35年TR-620
下の画像は、ラジオを下から撮影した画像です。やはり、TR-63,TR-610,TR-620の順に薄くなっています。TR-620が小ささの限界のようです。これ以上小さくすることもできるでしょうが、逆に操作性が悪くなってしまいます。TR-620以降は、短波やFM放送を受信できたり、音質を良くする方向に改良されます。個人的には、昭和50年(1975年)頃のSONYスカイセンサーシリーズがトランジスタラジオの頂点だったのではないかと思います。
右より、昭和32年TR-63,昭和33年TR-610,昭和35年TR-620
なおトランジスタラジオの興隆によって、真空管ラジオはすっかり淘汰されてしまいました。私が最後に購入した真空管ラジオは、私が中学生だった昭和40年に購入した松下製のトランスレス式GK-240です。そして、高校2年生だった昭和44年には、もう真空管ラジオは販売されていませんでした。大学受験講座を聞くために購入したのは、確か日立のトランジスタラジオKH-1230でした。
中学1年の時に購入したGK-240 右より、単3電池,サブミニュチュア管
ニュービスタ管、トランジスタ
ところで、最後に購入したトランスレス式真空管ラジオGK-240は、最後を飾るのにふさわしい真空管ラジオだったように思います。その頃、トランジスタに対抗してサブミニュチュア管やさらに小さなニュービスタ管などの真空管が開発されました。しかし、トランジスタには原理的にかなうはずがありませんでした。
ダイヤルを止めているネジを外す 右から、ネジ,ダイヤル,表示板
ラジオや素子の歴史はおしまいにして、このトランジスタラジオTR-63を分解してみることにしました。まずは、チューニングダイヤルを外しました。すると、ネジ,ダイヤル,ダイヤル表示板の三つから構成されていました。ネジを回してチューニングダイヤルを取り外しします。このようなダイヤルは珍しいです。
続いて裏蓋を取って、回路基板を外すことにしました。内部をよく観察すると、二つのネジが基板を固定していました。このネジを取り外して、基板をこじるようにすると、ポロリと基板を取り外すことができました。なお、ネジはプラスチックに食い込む木ネジでした。通常のネジではありませんでした。原価低減のためでしょうか。
〇は基板を固定している二つのネジ、珍しく木ネジ
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古いSONY製トランジスタラジオ TR-63の修理(2/x)
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