先日、ある新聞のコラムに、高塔山で見かけたキツネについて書きました。
読んだ方は少ないと思いますが。
「私は高塔山と呼ばれる山のふもとに住んでいます。先日の昼間、庭を歩いているとゴミ箱付近からいきなり山に駆け上がっていく動物がいました。そして次の瞬間、もう一匹飛び出していく動物がいました。やはり、山に向かって逃げていきました。その時でした、その動物が一瞬私を振り返りました。キツネでした。細長い顔、やや明るい茶色、そして太く長い尾。子供の頃に見たことがありますが、これほど近くで見たのは初めてでした。なんだかうれしくなりました。そして、「お前たちまだ生きていたのか。お前たちのおじいちゃん達を見たよ。」と声をかけたくなりました。
キツネ達が今も住んでいる高塔山は、国木田独歩の作品「帰去来」に出てきます。我家近くにあった旧吉見家に仮寓していた独歩も、今よりたくさん数がいたであろうキツネを見かけたに違いありません。独歩が遊んだ高塔山は今、峠は削られ、四方を舗装道路に囲まれています。小さくなったこの高塔山、キツネが住める環境がまだ残っているようです。一瞬目があったキツネ達は、親子だったかそれとも連れ合いだったのでしょう。ちゃんと餌が取れているのか、犬などに襲われることはないのか、仲間がいるのかなど、キツネ達を心配している私です。」
国木田独歩が遊んだ高塔山