前回、ラジオのボリュームが故障している可能性が高いと分かりました。今回はそのボリュームをどのように修理するか検討することにしました。このため、もう一度ボリューム周りを確かめてみることにしました。音量が下がらず時々ピーピー発信するような故障は初めてですので、いつもより慎重に調べることにしました。
ボリュームを再調査するためラジオの筺体を開ける
ラジオの裏蓋を開けて、いわば魚のようにラジオを三枚開きにしました。三枚とは、ラジオの全面パネル,回路基板,そして裏蓋です。問題のボリュームは前回、無水アルコールで磨いたので綺麗になっています。抵抗値を調べるため、テスターでボリュームの三端子に当てて調べました。抵抗値がスムーズに動くか、どこで抵抗値がゼロまたは無限大になるかなどです。
綺麗なボリューム テスターを端子に当てて調査
テスターを当ててボリュームをいろいろ調査すると、なんと抵抗値は正常でした。ボリューム自体の故障ではありません。と言うことは、接地側に接続されているはずのボリュームの三端子の一つが外れている可能性があります。外れていれば、その箇所が音が小さくならない原因だと推定できます。そこで、シグナルトレーサーで音声を確認することにしました。
シグナルトレーサーでボリューム周辺を調査
驚いたことに、検波後の音声はボリュームでちゃんと音量が調節できるではありませんか。ますます分からなくなってきました。そこで、どこかで音声が漏れているのか調べることにしました。そのため、回路基板を裏返しにしてボリューム周辺を一つ一つシグナルトレーサーで調べることにしました。すると、意外なところに音声が漏れていました。
回路基板を裏返しにして調査 左はボリューム中点、右はAGC回路
それは、AGC(真空管ラジオではAVC)回路です。AGCは電波が強い放送局は音量を押さえ、電波が弱い放送局は音量を増やすような働きがあります。いわば電子ボリュームのようなものです。このAGCに検波後の無平滑音声が乗っているようなのです。たまに音声がピーピーとハウリングのような音が出るのはこのせいかも知れません。中間周波増幅段内をAGCを通じてぐるぐる正帰還しているのかも。もしかして、AGC内のコンデンサが容量抜けしているのかも知れません。次回は、AGC回りを丁寧に調査してみようと思います。
AGC周辺が故障している可能性大。SONYの似た機種の回路図
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古いSONY製トランジスタラジオ TR-714の修理(4)
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