これまでは簡単な織機を使って布を織っていました。今後はもう少し難しい織りをしようと、整経にチャレンジしてみました。今回は256本のうち16本の経糸を使って、試しに綜絖と筬に通してみました。誰にも習わない我流の整経は、思った以上に苦労の連続でした。1時間かけて、なんとか綜絖を上下できるように16本の経糸を通してみました。単純に考えれば、16時間をかければ256本の経糸を通すことができます。16時間とはねえ!今回、次のような二つの反省すべき点がありました。
1時間程度かけて、16本の経糸を綜絖と筬に通す
反省点の一つ目は、一人で糸を選んで綜絖通しや筬通しを使うのはとても時間がかかり疲れることです。二人必要だと思いました。一人は糸を選んで渡す人。もう一人は糸を受け取って綜絖や筬に通す人です。実際、郷土館の古い織機の整経を柳井縞の会長Iさんにお願いした時、確か娘さんと二人で整経していたように思います。
色別に分けた256本の経糸 綜絖通しで糸を受け渡し
反省点の二つ目は、経糸を経糸ロールに巻き取る時期です。すべての経糸を通してから巻き取っていては糸が絡みつきそうです。綜絖や筬に通す前に経糸ロールに巻き取った方が良いように思います。また綜絖から筬へと通すのか、その逆なのか分かりません。また、最初に筬側に巻き取るのか、綜絖側に巻き取るのかも分かりません。ただし、織り始める時には綜絖側(織る人と反対側)のロールに経糸が巻かれていなければなりません。
奇数番目の経糸 次に偶数番目の経糸 経糸をピンと張る
実際に整経してみて、とんでもなく緻密な作業であることが分かりました。とにかく目が疲れました。やれやれ、いつになったら整経が完了するやら。
織りの教室で、生徒さんは織るだけで整経しない理由かよく分かります。織りだけでは満足できない人が整経するようです。かつては、整経と織りは別の職人に分かれていました。織るだけの職人を「織子」と呼んでいました。江戸から明治にかけて、竪ヶ浜の織子が田布施の織機工場に通っていたとの記録が残っています。
筬通しで糸を受け渡し 綜絖側の経糸ロール 筬側の経糸ロール
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思いのほか緻密で大変、整経(綜絖通し,筬通し)作業
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