私は農作業の合間を見てラジオを修理しています。このため、いったん修理の区切りが終わると、元通りにラジオを組み立てます。ラジオを分解したまま放置するようなことはしません。
次に修理を再開するときは、再びラジオを分解して回路基板を取り出します。今回、松下製トランジスタラジオ T-45の修理を再開しました。同じように、ラジオを分解して回路基板を取り出しました。
ラジオの裏蓋を開いてネジを緩める イヤホン、電源端子を外す
ラジオのボリュームをいっぱいに上げても音量が小さい原因は、低周波増幅器初段の電解コンデンサの容量抜けが比較的多いです(例1,例2,例3,例4など)。下左図はこのラジオの電子回路ではないのですが、同じトランジスタ4石構成の低周波増幅器です。この丸の部分の電解コンデンサの容量抜けの影響が大きいです。
丸は容量低下の可能性が高いコンデンサ 左図(丸)の実物コンデンサ
低周波増幅器初段の電解コンデンサは、ボリュームの中点に繋がっています。この電解コンデンサと平行に10μFの電解コンデンサを当てると、ラジオ放送の音声がとても大きくなりました。この結果から、この電解コンデンサの容量低下に間違いありません。電解コンデンサは、ポリバリコンやチタコンと違って電解質を使っています。化学成分上、この電解質が変質し易いのでしょう。このコンデンサを交換することにしました。このコンデンサの値は、耐圧3V容量5μFです。
交換することにした低周波初段結合コンデンサ
交換前に、私が学生時代からストックしておいたものから同じ容量の電解コンデンサを探しました。しかし、10μFばかりでなかなか5μFはありません。しかし、箱の底の方からようやく5μFを探し当てました。そして、回路基板の半田を溶かして容量が低下した電解コンデンサを抜き取りました。
ストックの中から5μFを探し当てる ×:容量低下したもの、〇:交換品
コンデンサを抜き取った跡の二つの穴に、交換する電解コンデンサの+−端子を間違えないように挿入しました。そして、半田こてを使って回路基板に半田付けしました。
電池を入れてスイッチを入れると、ラジオ放送局の音が大きく聞こえるようになりました。他のコンデンサも容量が低下していないか確認しました。しかし、わずかな低下です。交換するリスクの方が高いと判断しました。これで電子回路上の修理完了です。修理した回路基板を基板を筐体に納めました。
交換後の電解コンデンサ、これで格段に音が大きくなる
なお、他の電解コンデンサは、ダイヤル指針をスライドさせる糸やプーリーの下に隠れています。その電解コンデンサを交換する場合は、プーリーや糸を外さなければ交換できません。そのため、プーリーや糸を外しても元に戻せるように図面(下画像)を記録しておきました。しかし、今回は外す必要はなくなりました。今後、同じ機種のラジオを修理するときにために、この図を残しておくことにしました。
次回は、受信周波数範囲の確認、必要あればトラッキング調整、ラジオ筐体の掃除などをして修理を終わる予定です。
ダイヤル指針をスライドする機構 プーリーでの糸のとりまわし方法
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古い松下製トランジスタラジオ T-45の修理(2)
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