松下製カーラジオ、電源を入れる前に電子回路を調査してみました。まずは高周波回路、使われているトランジスタは、高周波増幅用に2SA103,混合発信用に2SA102,そして中間周波増幅用に2SA102が使われていました。2SA103,2SA102は松下が、ヨーロッパのPhilipsからのライセンス生産をしていたOCシリーズが元になっているようです。その後開発されたMCシリーズのMC103,MC102がJIS登録されて、2SA103,2SA102になりました。
高周波関連の電子回路部、丸は高周波増幅用トランジスタ
右〇から2SA103,2SA102,2SA102
この回路を見ると、松下製の方が後に開発したためか優れている場所が散見されました。それは、今では当たり前になっている中間周波増幅用フィルターが使われているようです。おそらくセラミックフィルターではないかと思います。上画像のOSC下の横長のものです。これを使っているため中間周波トランスが通常3個のところを2個で済ませています。
2SA102,2SA103の規格 JIS規格前の2SA102,2SA103
次に低周波増幅段ですが、これは普通のラジオと同じでした。初段増幅に2SB175,次段増幅に2SB345,そしてPP段に2SB324が使われていました。この頃、松下はラジオを次々に開発していた頃だと思います。ラジオ開発で得たノウハウをカーラジオにも生かしたのではないかと思います。
低周波増幅回路 右下〇:2SB175,左上〇:2SB345
トランジスタラジオの回路を調べると、開発当初の昭和30年代はいろいろな回路が考案されたようです。特許の関係でしょうか、各社に特徴があったように思います。その後だんだん淘汰されたのか、今はほとんど同じような回路になっています。例えば、6石トランジスタラジオと言えば、すぐにスタンダードな回路が頭に浮かびます。
2SB175の規格 2SB345の規格
ところで、低周波電力増幅に使われているトランジスタが、だんだん小さくなっていることです。三菱製カーラジオはA級増幅で50Wの,東芝製カーラジオではB級PP増幅で2Wが2個,そしてこの松下製カーラジオではB級PP増幅で0.2Wのトランジスタが2個使われています。この最大電力の違いはいったい何でしょうか。
B級PP増幅で0.2Wの2SB324が2個 青く点灯する豆電球 焦げ跡が
ところで、ダイヤル表示板を照らす豆電球を覆う青色のカバーが焦げたのか変色していました。永い間、豆電球の熱にさらされたのでしょう。交換用のカバーは無いでしょうから、このまま使うしかありません。対流で熱が逃げるようにカバー上部に小さな穴を開けると良いと思いますが、このままとしました。
B級PP増幅で0.2Wの2SB324の規格
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古い松下製トランジスタラジオ(カーラジオ)の修理(2)
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